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那覇地方裁判所 平成4年(わ)46号 判決 1994年1月24日

被告人

合資会社ゴールデン観光企画

本店所在地

那覇市西一丁目一六番地一

右代表者無限責任社員

渡久山徹

被告人

渡久山徹

年齢

五五歳(昭和一三年一〇月九日生)

本籍

那覇市西一丁目一六番地の一

住居

同市西一丁目一六番一とくやま産業ビル七〇四

職業

会社役員

被告人

宇榮原宗一

年齢

五八歳(昭和一一年一月二〇日生)

本籍

那覇市繁多川二丁目四五八番地

住居

東京都江東区森下三丁目六番九号トミヤコーポ五〇一号

職業

会社役員

検察官

古谷伸彦

主文

被告人合資会社ゴールデン観光企画を罰金三億円に、被告人渡久山徹を懲役二年六か月に、被告人宇榮原宗一を懲役一年六か月に各処する。

訴訟費用は被告人三名に連帯して負担させる。

理由

(犯罪事実)

被告人合資会社ゴールデン観光企画は、肩書地に本店を置き、不動産の売買、その仲介等を目的とする資本金三〇五万円の合資会社であり、被告人渡久山徹は、同会社の代表社員としてその業務全般を統括している者であり、被告人宇榮原宗一は、合資会社南陽産業の代表社員及び南陽産業株式会社の代表取締役であるが、被告人渡久山及び同宇榮原は、被告人会社の経理事務に従事している渡久山光宏と共謀して、被告人会社の業務に関し、法人税を免れようと企て、被告人会社が行った不動産の売却に南陽産業株式会社等が介在したかのように装ってその売上げの一部を除外するなどの方法により所得を隠した。その上で、

第一  昭和六四年一月一日から平成元年一二月三一日までの事業年度における被告人会社の実際の所得金額が一五億九〇一五万二六五〇円(別紙1の修正損益計算書参照)で、課税土地譲渡利益金額が一四億二九四九万五〇〇〇円であったにもかかわらず、平成二年二月二七日、那覇市旭町九番地所在の所轄那覇税務署において、同税務署長に対し、所得金額及び課税土地譲渡利益金額がいずれも零円であり、納付すべき法人税額はない旨の虚偽の法人税確定申告書(平成四年押第三二号の1)を提出し、そのまま法定納期限を徒過させて、同会社の右事業年度における正規の法人税額九億八九〇六万四八〇〇円(別紙2の脱税額計算書参照)を免れた。

第二  平成二年一月一日から同年一二月三一日までの事業年度における被告人会社の実際の所得金額が四億五一三万八二五六円(別紙3の修正損益計算書参照)で、課税土地譲渡利益金額が五億五一四一万八〇〇〇円であったにもかかわらず、平成三年二月二八日、前記那覇税務署において、同税務署長に対し、欠損金が八〇八〇万八五六四円、課税土地譲渡利益金額が一六四〇万五〇〇〇円であり、これに対する法人税額が二五〇万三〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書(前同号の2)を提出し、そのまま法定納期限を徒過させて、同会社の右事業年度における正規の法人税額二億八九九七万七九〇〇円と右申告税額との差額二億八七四七万七六〇〇円(別紙4の脱税額計算書参照)を免れた。

(証拠)

冒頭の事実について

1  被告人兼被告人会社代表者渡久山の

(1)  公判供述

(2)ア  第一回、第二回、第六回、第七回公判調書中の供述部分

イ  第五回公判調書中の供述部分

(3)ア  検察官調書一六通(検察官請求証拠番号乙1ないし3、10ないし12、15、20、25ないし27、30ないし34)

イ  検察官調書一〇通(同番号乙4、5、8、9、14、21、22、24、28、29)

ウ  検察官調書八通(同番号乙6、7、13、16、17ないし19、23)

2  被告人宇榮原の

(1)  公判供述

(2)  第一回、第二回、第八回、第九回公判調書中の供述部分

(3)ア  検察官調書六通(同番号乙40ないし42、47、50、51)

イ  検察官調書三通(同番号乙43ないし45)

ウ  検察官調書三通(同番号乙46、48、49)

3  第四回公判調書中の証人喜納正誠の供述部分

4(1)  渡久山光宏(六通・同番号甲23、24、26、27、33、34)、宜保吉政、嵩原恵義、佐伯弘道、金城安彦、高増和明、玉城善次の各検察官調書

(2)  渡久山光宏(二通・同番号甲28、31)、波名城盛次(三通)、仲宗根健效、玉城栄徳、高江洲義孝、渡具知惇光、大城平徳、上江洌三郎、安里昌菊、新垣盛信の各検察官調書

(3)  渡久山光宏(五通・同番号甲25、29、30、32、35)、古堅哲也、翁長孝栄、宮城啓安の各検察官調書

5  大蔵事務官作成の

(1)  売上高調査書、受取利息調査書、期首棚卸高調査書、商品仕入高調査書、期末棚卸高調査書、手数料調査書、租税公課調査書、支払家賃調査書、受取利息調査書、受取配当金調査書、債券償還益調査書、有価証券売買損益調査書、支払利息・割引料調査書、雑損失調査書、損金算入地方税利子割調査書、課税土地譲渡利益金に対する税額(土地譲渡税額)調査書

(2)  雑収入調査書、繰越欠損金の当期控除額調査書、(二頁目の1の3の<5>、2の(1)の<5>の部分、一〇頁を除く)

(3)  寄付金調査書、寄付金の損金不算入額調査書、申告欠損金調査書、事業税認定損調査書

6  登記簿謄本三通(同番号甲67、68、乙35)

7(1)  法人税確定申告書一冊(平成四年押第三二号の1)

(2)  法人税確定申告書一冊(右同号の2)

第一の事実について

8  報告書

9  検査てん末書二通

10  代理委任依頼書(前同号の6)、領収証二枚(前同号の7、8)、メモ(前同号の9)、封筒(前同号の10)、振替伝票綴(前同号の11)

11  前記1(1)、(2)、(3)ア、イ、2(1)、(2)、(3)ア、イ、3、4(1)、(2)、5(1)、(2)、7(1)の各証拠

第二の事実について

12  前記1(1)、(2)ア、(3)ア、ウ、2(1)、(2)、(3)ア、ウ、4(1)、(3)、5(1)、(3)、7(2)、8の各証拠

(争点に対する判断)

一  本件の争点は、<1>第一の犯罪事実に関して、過年度(昭和六三年)中に有限会社きなシェルから被告人会社へ支払われた金銭のうち謝礼金等の収入にあたる部分(繰越欠損金の当期控除額の算定要素)が、幾らであったのか、及び、<2>犯罪事実全部に関して、被告人渡久山及び同宇榮原と渡久山光宏との間に共謀があったのかどうかである。

二  争点<1>について

1  検察官は、有限会社きなシェルから被告人会社へ昭和六三年中に二億三九九五万三六九九円が支払われているところ、このうち、貸付けに対する返済として支払われた金額(以下、単に「返済金」という。)は、多くとも一億六〇〇〇万円を超えるものではなかったから、これを控除した七九九五万三六九九円は借入保証に対する謝礼金等(以下、単に「謝礼金等」という。)の収入であり、申告にかかる繰越欠損金の当期控除額からその金額を減額すべき旨主張する。これに対し、被告人会社及び被告人渡久山両名の弁護人は、有限会社きなシェルから被告人会社への右金額の支払は認めるが、右支払のうち返済金の額は二億円であるから、収入となる謝礼金等の額は三九九五万三六九九円であり、その限度で申告にかかる繰越欠損金の当期控除額を減額すべき旨主張する。

前掲関係各証拠によれば、右のうち、昭和六三年中に有限会社きなシェルから被告人会社へ総額二億三九九五万三六九九円が返済金及び謝礼金等として支払われたことが認められる(右事実は右の検察官及び弁護人の主張の対比からも明らかなとおり、争いがない。)から、以下、右総額のうちの返済金及び謝礼金等の各金額が幾らであったのかの点について検討する。

2  右各金額を明確に認定するに足りる受領証等の物証はないところ、被告人兼被告人会社代表者渡久山(以下「被告人渡久山」という。)は、検察官に対しては、返済金の額は一億四〇〇〇万円ないし一億五〇〇〇万円であり、多くても一億六〇〇〇万円を超えるものではなかった旨供述しているものの、公判では、返済金は二億円であった旨供述しており、また、有限会社きなシェル代表者である証人喜納正誠は、返済金の額は一億五〇〇〇万円であり、謝礼金等の額は、約九〇〇〇万円であった旨供述しているので、右各供述の信用性が問題となる。

そこで検討するに、右の供述内容の変遷につき、被告人渡久山は、第五回公判で、被告人会社が有限会社きなシェルに貸し付けた金額は二億円であると取調べ検察官の水野谷幸夫検事に言ったが、それが一億四〇〇〇万円から一億六〇〇〇万円であるとの供述を押しつけられたものであり、勾留延長後はずっとこの問題について調べ続けられ、これを認めなければ保釈されないと言われ、やむを得ずしたものであると供述している。これに対し、証人水野谷幸夫は、第七回公判で、被告人渡久山の右供述を否定し、同被告人は、被告人会社が有限会社きなシェルに貸し付けた金額は一億四〇〇〇万円ないし一億五〇〇〇万円であると供述しており、それが二億円であると供述したことはないと供述している。水野谷幸夫の公判供述は、その供述内容が具体的詳細で、不自然、不合理なところがなく、特に、検察官としては、被告人会社が有限会社きなシェルから受け取った謝礼金等の額の増減が全体の脱税額にあまり影響がないので、その額を重要視していなかったとの供述は肯首しうるものであるから、その信用性が高く、しかも、被告人渡久山の他の検察官調書の作成日付に照らせば、勾留延長後はずっとこの問題について調べ続けられたとの被告人渡久山の供述は全く信用することができず、結局、水野谷幸夫の供述に反する被告人渡久山の右供述は信用することができない。一方、証人喜納の供述については、金額に関する部分は終始一貫しており、この点について同人が虚偽の供述をする必要性はなく、その他にその供述の信用性を疑わせる事情は認められない。そして、前掲関係各証拠及び第七回公判調書中の証人水野谷幸夫の供述部分によれば、昭和六三年一〇月五日ころ、有限会社きなシェルから被告人会社に支払われた四〇〇〇万円は返済金ではなく、謝礼金等であること(この点について、喜納正誠は、公判で、返済金である旨供述しているが、その際に作成されたメモ(平成四年押第三二号の9)には、右四〇〇〇万円が「利益分」であると記載しており、喜納の右供述は記憶違いによるものと思われるが、少なくとも、喜納の意図はともかく、被告人渡久山との関係では、右四〇〇〇万円が謝礼金等として授受されたと認められる。)、昭和六三年当時の被告人会社の経理の責任者であった波名城盛次に対し、被告人渡久山は、同年一〇月一二日ころ、小切手で受け取った一億九六三七万三六九九円のうち一億五〇〇〇万円が返済金であると説明していること、被告人渡久山は、国税庁による査察の段階では謝礼金等の存在をすべて否定していたこと、謝礼金等には純粋な借入保証に対する謝礼のほか、当初当該目的物件が被告人会社へ転売されることが予定され、その実現のために貸付けもなされていたが、それが実現できなくなったために被告人会社が被った迷惑料も含まれており、通常の謝礼金に比較して高額なものとなったことなどの事実が認められ、さらに、証人喜納の供述と金額に関する供述内容がほぼ符合することなどをも併せて考えれば、これらの事情に沿う被告人渡久山の検察官に対する供述は信用性が高いというべきである。これに反する被告人渡久山の公判供述は、何ら裏付けの物証がなく、また、それにもかかわらず、検察官に対しては供述できなかった貸付けの回数とそれぞれの金額を明確に供述しており、その変遷は不自然であり、さらに、前記のとおりその一部に信用性を明らかに欠く部分もあるから、信用することができない。

3  したがって、被告人会社が有限会社きなシェルから受け取った二億三九九五万三六九九円のうち、返済金の額は一億五〇〇〇万円であった可能性が高く、多くても一億六〇〇〇万円を超えるものではないことが確実であり、結局、被告人らに最も有利に考え、謝礼金等の額は七九九五万三六九九円であったものと認定することができる。被告人会社及び被告人渡久山両名の弁護士のこの点に関する前記主張は採用することができない。

三  争点<2>について

1  被告人渡久山並びに被告人会社及び被告人渡久山両名の弁護人は、犯罪事実全部について、渡久山光宏との共謀を否認する旨主張している。

2  しかしながら、前掲関係各証拠によれば、被告人会社の社員は被告人渡久山が唯一の無限責任社員で、渡久山春子が唯一の有限責任社員であるところ、渡久山光宏は、被告人渡久山と渡久山春子の長男であり、平成元年三月ころ被告人会社に入社してからは経理の責任者の立場にあって、被告人渡久山とともに不動産取引の仕入れから販売までの営業全般の仕事をも行い、その中で、被告人渡久山及び同宇榮原が被告人会社の売上げの一部を除外するなどしてその所得を秘匿しようとしていることを知りながら、その秘匿工作のためや秘匿した所得を管理、運用するための預金口座を開設したり、預金の引出し、振込み、振替え、秘匿した所得による割引債券の購入等、本件各犯行に係る所得秘匿工作に加担していること、平成元年一二月期及び同二年一二月期の被告人会社の法人税確定申告書(平成四年押第三二号の1、2)の作成に当たっても、その元となる伝票の作成を被告人会社の女性職員に指示している上、被告人渡久山とともに被告人会社の顧問税理士から右申告書の説明を受け、その内容がいずれも所得を隠した虚偽のものであることを知りながら、各申告書の経理責任者欄に自ら署名押印し、いずれも右税理士を介して那覇税務署長に提出していることが認められるから、渡久山光宏も、少なくとも被告人渡久山及び同宇榮原と暗黙のうちに本件各犯行の意思を相通じ合って実行行為の一部を分担したことは明らかであり、渡久山光宏との共謀があったことが認められる。

3  したがって、被告人渡久山並びに被告人会社及び被告人渡久山両名の弁護人のこの点に関する主張も採用することができない。

(法令の適用)

被告人渡久山及び同宇榮原の前記各行為はいずれも刑法六〇条、法人税法一五九条一項(被告人宇榮原については刑法六五条一項)に、被告人会社の前記各行為は法人税法一六四条一項、一五九条一項にそれぞれ該当する。被告人会社については情状により同法一五九条二項を適用し、被告人渡久山及び同宇榮原については定められた刑の中からいずれも懲役刑を選択する。被告人らの以上の各罪はそれぞれ刑法四五条前段の併合罪であるから、被告人会社については、同法四八条二項により各罪の罰金額を合算した金額の範囲内で罰金三億円に処し、被告人渡久山及び同宇榮原については、同法四七条本文、一〇条によりいずれも犯情の重い第一の罪の刑に法定の加重をした刑期の範囲内で被告人渡久山を懲役二年六か月に、同宇榮原を懲役一年六か月にそれぞれ処する。訴訟費用は、刑訴法一八一条一項本文、一八二条により、被告人三名に連帯して負担させる。

(量刑について)

一  本件は、不動産の売買等を主に行っていた被告人会社の業務に関して、経営者の被告人渡久山と南陽産業株式会社等を経営する被告人宇榮原とが、経理担当者である渡久山光宏と共謀の上、二事業年度にわたり、被告人会社の不動産取引に南陽産業株式会社等をいわゆるダミーとして介在させてその売上げの一部を除外するなどの方法で所得を隠し、その法人税を脱税したという事案である。

二  まず、その脱税額は、平成元年一二月期及び同二年一二月期の二期合計で一二億七六〇〇万円余りという巨額なものである上、脱税率は、二期通算で実に約九九・八パーセントと非常に高く、極めて悪質かつ重大な脱税事犯といわなければならない。その上、脱税の方法自体も、資産も収益もないいわゆるダミー会社に売上げが帰属するように装うため、虚偽の売買契約書を作成したり、ダミーとなった南陽産業株式会社名義の預金口座に代金を入金させた上、その先の金銭の流れを国税当局から隠蔽するため外国人名義の銀行口座に振り替えてから、これを引き出し、秘匿した売上げ等の入出金に用いるために予め用意した仮名の銀行口座に入金したり、無記名の割引債券を購入して蓄財していたものであり、計画的かつ周到に行われており、犯行手段についての犯情もよくない。脱税を行うに至った動機について見ても、被告人宇榮原は、「脱税の報酬をパラオ共和国における都市開発事業の資金にするためであり、右事業が成功した場合には、被告人会社の納税分まで含めて南陽産業株式会社で全額納めるつもりであった」旨供述し、被告人渡久山は、「被告人宇榮原の事業を援助するためと不動産取引の際に必要となるいわゆる裏金の資金を得るためであり、事業で得た収益で全額納税する旨の被告人宇榮原の右供述を信用した」旨供述しているが、裏金は取引相手の脱税に協力することになりかねず、その資金を得るためという動機は被告人渡久山の租税制度軽視の考え方が根深いことを裏付けるものであるし、被告人宇榮原の事業計画を実現するため資金獲得の必要性があったとしても、手段を選ばずに安易に脱税するに至ったことは厳しく非難されなければならず、加えて、右事業が成功するかどうかは極めて不確実であり、少なくともそのため多年を要することは明らかであって、その収益から納税するつもりであったとしても、これが実行される可能性は低く、結局、動機等の面においても酌量すべき余地はないというべきである。そして、脱税した法人税については未だその大半が納められていない。このように、国庫及び社会一般へ与えた影響は重大である。

被告人らの個別事情について見ると、被告人会社は被告人渡久山のワンマン会社とも言うべき会社であって、被告人渡久山は、本件犯行においても、脱税手段自体は後述のとおり被告人宇榮原から持ちかけられたものではあるが、実行の面においては主体的、積極的役割を果たしていることや、欲得から社会的責務を放棄した考え方に起因した犯行であることをも考えると、その責任は重大である。一方、被告人宇榮原は、犯行自体においては、被告人渡久山に比較して従たる立場にあったことは否めないとしても、南陽産業株式会社等を被告人会社の不動産取引にダミーとして介在させるという脱税方法を計画立案して被告人渡久山に持ちかけ、被告人会社の脱税に協力してきたのであって、右方法による脱税額が本件脱税額の大半を占めていることや、その動機が前述のとおり謝礼を得るためであり、実際に脱税に加担した謝礼として五億円余りを得ていることからすれば、やはりその責任は重いといわざるを得ない。

三  これらの事情に対し、被告人渡久山及び同宇榮原は、国税当局による査察当時から事実を概ね認めており、現在では脱税行為の重大性を認識して反省する態度を取っていること、被告人渡久山は被告人会社の本件脱税に係る法人税について、被告人宇榮原は、南陽産業株式会社が本件脱税行為によって謝礼金を得たことによる法人税について、それぞれ完納すべく努力していること、被告人宇榮原には前科前歴はないこと、被告人渡久山及び同宇榮原が実刑判決を受けることでそれぞれが代表者を務める会社の事業に影響が生じるであろうことなど、被告人らにとって有利にしんしゃくすべき事情も認められる。

四  しかしながら、前述の本件犯行の重大性、被告人らの責任の重さにかんがみると、被告人らに有利にしんしゃくすべき右事情のほか弁護人らが指摘するその他の情状をも最大限に考慮してもなお、本件において、被告人渡久山及び同宇榮原に対する刑の執行を猶予することはできず、以上の諸事情を総合考慮して、被告人会社に対する罰金額も含め主文掲記の刑の量定をした。

(裁判長裁判官 宮城京一 裁判官 秋葉康弘 裁判官 江原健志)

別紙1 修正損益計算書

<省略>

<省略>

別紙2 脱税額計算書

<省略>

別紙3 修正損益計算書

<省略>

<省略>

別紙4 脱税額計算書

<省略>

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